オフラインイベントとしてのVidMeetはIIJが主体となって進めるイベントでしたが、VidMeet Onlineはベンダー各社が共同主催者となって進めるスタイルに変わりました。ただその変化の上でも留意したのは「各社がやりたいことを最大限に支える」スタイルでした。コミュニティ運営には色々なスタイルがあって然るべきですが、ことVideo over IP領域に関してはちょっとビジネス色が見えるくらいの方がいいのかなと思っていて、相互接続性とかベンダー非依存とかは求めませんでした。むしろガチガチのベンダーロックインスタイルを出してほしいと思っていたくらいです。どうもこの領域はエンドユーザとベンダーの持ちつ持たれつという構造があって、そこをあまりに無視してもリアリティがないなと感じているからです。
ぶっちゃけ、VidMeetも9回開催してきて、まあだいたいやりたいことはできたんですよね。もちろんネタは多数あるのですが、マンネリになるくらいならスパっと…と思っていた矢先のコロナ禍。そんな折り、昨年のInter BEE Video over IPチームを交えたZoomミーティングで「VidMeet Onlineという名前でやるといいんじゃない?」と言ってくださったのはMellanox/NVIDIAの田口さんでした。それまで全く自分では考えていなかった展開でしたが、一気に光明が差す思いでした。このコメントがなかったら、VidMeet Onlineは存在していなかったと思います。田口さん、ありがとうございました。
1996年に初めて渡米したとき「自分はいまアメリカ合衆国に来たのだ!」と感じた瞬間をはっきり覚えています。それはSFOからSan Joseに向かう101の途上で見えてきたこのNASAのロゴそして「NASA Ames Research Center」の看板を見たときでした。映画”The Right Stuff”の世界を想起させ、かつまたその頃主要な位置を占めていたIXがNASA Amesにあったこともあり、科学技術の大国に来たのだと肌で感じた一瞬でした。(今も看板あるのかなあと思ってGoogle Streetviewで探してみたら見つけられませんでした。もしかして擬似記憶?)
さて今回はそのSMPTEの2110 Virtual Courseについて紹介させてください。SMPTEの今の推し技術のひとつがST 2110であることはWebサイトをちょっと見ただけでもわかりますが、その中でご紹介したいのが”Understanding SMPTE ST 2110″というVirtual Courseです。これはいわゆるオンライン学習コースで、2017年に開講されて以来繰り返し開催されています。
毎コマ毎に時間制限付きの選択式小テストがあり、きちんと回答するには予め規格書を読んでおくことが好ましいと思われます。ST 2110の各ドキュメントは受講者に無料で配布されますが、しっかり理解しようとすると関連RFCやAES67, ST 2059も押さえておく必要があり、ここが非常に勉強になると感じたところです。
脱線するとST 2110-30やAES67からreferされているRFC 3190 “RTP Payload Format for 12-bit DAT Audio and 20- and 24-bit Linear Sampled Audio”は当時CRLの小林克志氏(現・東京大学)と慶應SFCの小川晃通氏(現・「Geekなページ」ブロガー)他2名に依るものです。当時WIDE Projectが推進していたDVTS (Digital Video over IP)を標準化するためRFC3189 “RTP Payload Format for DV (IEC 61834) Video”とセットで発刊されたもので、これは実に2002年のことです。